株式投資

『中国版UBER』滴滴出行(DIDI)がIPO直後に20%以上の下落をしたワケ

2021年7月28日

『中国版UBER』とはやし立てられていたはずの”滴滴出行”が上場直後に大暴落したことをご存知でしょうか?

今回の記事では、

 

  • 中国大手配車サービス”滴滴出行(DIDI)”が暴落した事件

  • 暴落した理由

  • 中国株の今後

 

について触れていきたいと思います。

超有望IPOの「滴滴(DIDI)」が大暴落

2021年6月30日、中国配車アプリとしては最大手の滴滴出行(DIDI)がニューヨーク証券取引所にて、ADRとして上場を果たしました。IPO価格は14ドルと設定され、上場日の最高値は18ドル(+28%)にまで達しました

しかし、同年7月6日に30%の大暴落が発生し、Bloombergが報じた内容を引用すると

 

Bloomberg引用「滴滴のADRは一時30%安の10.90ドルとなった。約220億ドル(約2兆4400億円)相当の時価総額が吹き飛び、新規株式公開(IPO)価格の14ドルを下回る水準で取引されている。」

引用:滴滴のADR急落、時価総額2兆4400億円吹き飛ぶ-NY6日時間外

 

とのことである。

その後も3日間の続落により更なる株価暴落を迎え、執筆時(7月28日19時頃)の株価は8.04ドルとIPO価格から-43%の暴落となっています。

大暴落の理由とは?

暴落が始まったきっかけですが、7月6日に「中国当局が国内のアプリストアに対し滴滴のアプリを削除するよう命じた」と報道されたことが嫌気されたからです。

元々、中国当局は7月2日に”滴滴出行の調査を開始する”旨の発表をしていて、4日にはアプリストアを管理している各社に滴滴出行のアプリを削除するように通達していました。

このような事態が起きた背景には、中国当局が滴滴出行がユーザーデータを不正に収集・利用した”と発表したからである。

また、上場よりも数か月前に中国当局から警告を受けていたにもかかわらず、黙って上場したことも痛烈に報道されてしまい、当分は株価が戻らないと見られています。

アプリ配信停止にまで追い込まれる

アプリ配信停止にまで追い込まれた滴滴出行ですが、あくまでアプリ配信が停止されただけであり、既存ユーザーはインストール済みのアプリから利用可能です。

また、中国以外の国では問題なく利用できているため、”売上ゼロ”となったわけではありません。

とはいえ、現時点で最も売上率が高い中国内でのアプリ配信が制限されてしまっていて、解除の目途がついていません。よって、大きな痛手であることには変わりありません。

中国政府と中国大手企業の対立?

ここ最近、何かと話題に上がっている”中国政府による自国企業への取り締まり”、特に大手企業に対する風当たりが厳しくなっています。

テクノロジー分野への政策見直しに加え、教育分野や不動産に対して規制が強化されました。

これにより、米国市場に上場している中国企業は軒並み下落し、米上場の中国大手企業98銘柄で構成するナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(中国版QQQ)が3日のうちに20%近く暴落しました。

こうしたことから、今後はボラティリティの高い中国株から資金が流失していき、相場はより熾烈なものとなることが伺えます。

「滴滴(DIDI)」の株価は戻らない!?

話を戻して、滴滴(DIDI)の将来的な見通しについて触れていきます。

結論として、1年内に株価を大きく伸ばすことは難しいと筆者は考えています。また、仮に戻すことがあったとしても、現時点で投資対象として扱うのは厳しいと思います。

なぜなら、中国当局が規制を今後も強化していく可能性を常に懸念しなければならないからです。仮に中国株が軒並み回復しても、また規制によって暴落するかもしれません。

そのようなリスクを背負いながら中国株へ投資するのであれば、米国株を筆頭とした先進国の株を買ったほうが長期的には大きなリターンが見込めるでしょう。

こうした一般的な考えで他の投資家たちも動くため、中国株に大きな買い、それも継続的なものが入るとは想定しにくいです。

また、中国政府の規制とは別に、今回の滴滴の件では「中国政府から警告を受けているのに強引に上場した」ということもあるため、雲行きは怪しいです。

アメリカでは集団訴訟の動きアリ

また、「中国政府から警告を受けているのに強引に上場した」件に関して、上場先の米国で集団訴訟する動きがあります。

わずか数週間で半値未満に暴落したことから、多くの投資家たちに多額の損失を出したことが大きな要因となり、滴滴と上場をサポートした証券会社を相手取って訴訟を行なっています。

訴訟内容をまとめると、

  • 1933年証券法と、1934年証券取引法に違反している。

  • 中国当局から警告されていたのに、その事実を隠したまま上場した。

 

というものである。

前者の「1933年証券法と、1934年証券取引法」を要約すると、投資家が上場している企業に関する重要な情報を得られるようにし、情報の不備や不正を禁止するというものである。

この訴訟が今度どのように進展するかは不明だが、中国株のみならずIPO銘柄にも影響を及ぼすため、今後注目していきたいです。

まとめ

今回は、上場銘柄としてかなり注目されていた滴滴出行(DIDI)がわずか数週間で大暴落をした経緯をまとめました。

IPOブームが流行している今、驚きのニュースです。

中国政府や訴訟の動向に今後も注目していきたいです。

-株式投資
-,