レポート

円安、進む....。【2021/10/17レポート】

2021年10月19日

円安が進んでいることについて、解説します。

今回は、2021年9月~10月において、円安が進んでいることについて解説します。

円安が進んでいるからといって、FXをやっていなければ過度に心配する必要はないと筆者は考えています。しかしながら、株式投資でも多少なりとも考慮しなければならない要因です。

そのため、皆さんの参考となるように、

  • 円安が進んでいる理由

  • ドル円の分析

を簡単にまとめてみました。

投資材料としてぜひご活用いただければ幸いです。

9月から円安が進んでいる

9月になってから円安が進み、ドル円は2018年10月ごろにつけた高値114円台まで届いています。

2020年から振り返ると、2020年3月にドル円111円の高値をつけてから2021年1月の安値102円まで下落トレンドに入っていました。そこから反発すると4月に111円の高値をつけました。以降は108円~110円台で横ばいが続いていました。

しかし、9月下旬に調整局面を抜けると、大きく天井を抜けてドル円が上昇していき、現在の114円台まで進んでいます。

円安が進んでいる主な要因

円安が進んだ要因として、以下の要因が考えられています。

  • インフレ懸念からの日本景気回復の鈍化

  • 米国債金利の上昇&テーパリングによる円売りドル買い

  • 新政権による金融取引課税の増税

これらの状況が揃ったため、日本経済回復への不安から米国へ資金が流入し始めています。

特に米国債金利が上昇し、テーパリングが開始されば長期的に米国市場への資金流入が起こります。そうなると、円安がより促進される要素となりえます。

また、円安と直接的な要因があるか不明ですが、中国恒大集団のデフォルト危機も悪材料です。もしデフォルト問題が懸念から本格的な危機となれば、日本市場にとっては大打撃となるでしょう。一方で米国市場には多少のダメージはあっても深刻な問題にはならないとされています。

こうした背景から、日本株への投資は海外投資家からすればボラティリティが激しい反面、旨味は少ないです。よって、円安が起こっていると思われます。

テクニカル分析をしてみる

次に、テクニカル分析をしてみます。

円と他の通貨の為替を比較してみましょう。

アメリカドル、ユーロ、ポンドに対する円の為替チャートがこちらになります。

※アメリカドルが青色、ユーロが水色、ポンドがオレンジです。

米ドル、ユーロ、ポンドに対する円の為替チャートになります。

米ドル、ユーロ、ポンドに対する円の為替チャート

こうしてみると、どれも変動率に差はあるものの値動きが一致していることが分かります。特に重要な9月~10月の値動きが一致しています。よって、ドルに対して円が安いのではなく、世界的に円が安くなっていることが見て取れます。

次に、ドル円の為替チャートを長期で見てみましょう。

ドル円の為替チャートです。

ドル円の為替チャート

2016年~2021年の間に三角持ち合い(青線)を形成していたことが分かります。現在は上抜けし、114円まで大きく上昇しています。

しかし、現在の114円台は2017年~2019年の間に5回ほどレジスタンス(紫線)となっています。よって、今回もレジスタンスとして作用する可能性が充分あります。

一方で、これを上抜けして上昇し続ければ、円安がもっと進むことを意味します。

その場合、2016年の高値118円台まで上昇することが予想されます。

今回のインフレ、アメリカのテーパリングなどを加味すると、上抜けする可能性が高いです。

円安の影響を受ける米国株式

円安が進んでいくと、米国株式に手を出している日本人は注意しなければいけません。

既に保有している分には、為替分が上乗せ利益となるため問題ありません。しかし、新たに購入する場合、購入後に円安となればその分がマイナスとなってしまいます。

もし、直近の安値102円台まで下がったとした場合、現在の114円と比べて-10%以上の差分となります。

よって、為替リスクがあることを念頭において、米国株式の取引をするようにしてください。

日本株なら外需株のみ

では、日本株なら為替リスクの心配がないのか?

答えとしては半分正解で半分不正解となります。

同じ日本株でも内需株と外需株で分かれます。内需株と外需株の違いを簡単にお伝えすると、

  • 内需株:国内のみで事業を行なう。

  • 外需株:国外で事業を行なう。(例えば、貿易)

となります。

もちろん、完全に国内のみで事業を行なう(またはその逆)という風に綺麗に分かれているわけではありません。そのため、少なからずどの企業も影響を受けますが、内需寄りの銘柄であれば過度に心配する必要はありません。

しかし、完全に外需寄りの事業を行なっている銘柄へ投資する場合は、例え日本株であっても為替リスクを考慮しなければなりません。

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