チャート分析

「チャートの基本」株価と出来高の関係性を学ぶ!

2022年1月11日

今回は、株価と出来高の関係性について解説していきます。

株価チャートを見るうえで出来高も一緒に表示している方は多いです。

しかしながら、「なぜ出来高をチェックしているのか?」その理由を知らない人も多くいます。

そのため、今回の記事で出来高の重要性を学びましょう。

株価と出来高は連動しやすい

出来高とは”売買が成立した株数”で、買い/売りともに1万株の注文があった場合、出来高は1万となります。

ここで株価と出来高の動きを比較すると、両者が連動する傾向にあります。つまり、株価が上昇すれば出来高も伸び、株価が下がれば出来高が減ることを意味します。

投資家の心理を考えてみると、

株価が上がったから「今から買って儲けようぜ!」と強気に考える人が増え、当然買いが増えて出来高が伸びます。

逆に株価が上がったら「今買っても損するだけだ...」と弱気に考える人が増え、当然買いが減って出来高が伸び悩みます。

そのため、株価と出来高は連動しやすい傾向にあります。

“イナゴタワー”には要注意!

今流行りのEVやクリーンエネルギー、宇宙関連銘柄といったテーマ株では何かのニュースがきっかけいに、株価も出来高も急激に伸びる場面があります。

こうした場面では「自分も早く買わねば、波に乗り遅れてしまう!」と大慌てで買い向かう個人投資家が多いように見受けらえます。(Twitterを見てると特に...)

しかし、こういった伸びはすぐさま天井をつけ、急落することが多々あり、高値掴みの大損を被ることになります。

ネットでは揶揄した表現で「イナゴタワー」と表されます。ニュースで飛びつく個人投資家が”作物に群がるイナゴ”のようだと言われています。一時のニュースで急騰しただけの株価だけにすぐさま崩壊する脆弱性があるため、イナゴタワーはあっさりと元値(酷ければそれ以上)に下落します。

もしこういった銘柄を目にしても沸騰寸前の頭を冷やして、冷静に見送ることをオススメします。

出来高が株価を先行する場合もある

株価と出来高は連動して動くと先ほどお伝えしましたが、出来高のみが先にひとり歩きするケースがあります。

例えば、株価がある程度下げていくと「そろそろ上昇するのでは?」という思惑から買いが入ることがあります。そのため、株価が上がっていないものの出来高が徐々に上がっていくことがあります。

特に手ひどく売られている銘柄に関しては、これまでの分力強く上昇するパターンがあります。注意点としては、決算が良くないなどの不安要素がある銘柄は株価が反応するまでは手をつけるべきではありません。もっと言えば、決算が良く、かつ出来高がひとり歩きしている銘柄を探すべきです。

下落の判断材料にもなる

株価上昇の予知に使える”出来高”ですが、同様に株価下落の予知に使うこともできます。

株価が上昇しているにもかかわらず、出来高が先行して減少するケースです。

この場合、株価が過熱しすぎている銘柄で「そろそろ利益確定しておこう!」と売りに入る投資家がいる一方で、「株価がちょっと下がった、ラッキー!」と買い向かう投資家がいる状態です。そのため、売られているにもかかわらずそれでも買い注文が入るため、株価を支えてくれているわけです。

しかし、出来高は減少傾向であるため、どこかのタイミングで支えきれなくなります。こうなると株価は上昇できず下落していきます。

前述したイナゴタワーでは特にこの現象が起こりやすく、急激に株価が上がっているのにイマイチ出来高が伸びていないと思った場合、注意深く見たほうがよいでしょう。

実践編)”出来高”の活用方法を解説します。

では、実際に”出来高”を確認しつつチャートを読み解いていく方法を解説します。

まず、出来高というものは株式銘柄・ETFごとに平均の売買数が異なるため、銘柄ごとに比較してもあまり意味がないことを理解しておきましょう。

次に、出来高は具体的な数字に囚われず、ざっと比較して「今日の出来高は伸びてるな」、「今週の出来高は徐々に減少傾向にあるな」といった感覚的な分析で充分です。よって、チャートツールの下に出来高を表示する程度で問題なく、とりわけ特別な分析方法をする必要はありません。

これらを踏まえた上で、実際の銘柄で出来高を分析してみましょう。

具体例①:全米インデックスファンドVTIの場合

VTIは綺麗なトレンドラインを形成して上向きに株価を伸ばしていってます。

そのことを理解したうえで、短期的に底値となった箇所に注目してみましょう。(7月、10月、12月)

すると、底値で大きな下ヒゲを出しているときは出来高が他の日と比べて大きく伸びていることが分かります。

このことから底値となったタイミングで「どうせ反発するだろう」との思惑から多くの投資家が買いに入り、結果的に買い支えたことが分かります。

次に、9月後半での反発に注目すると、出来高を伴って反発したものの徐々に出来高が減少していきます。すると、株価は伸びていたがすぐに天井をつけて反落し始めています。

このように株価と出来高を見比べることで、おおよその流れをつかむことができます。

具体例②:アップルAAPLの場合

アップルのチャートを見ると、12月15日付近で反発からの上昇トレンドが形成されています。しかし、出来高を見ると徐々に減少しています。そして最高値付近がレジスタンスとなり、上値を押し込んでいます。

出来高が低くなっていることから今後も上値が重い展開となると予想されます。

まとめ

今回は、株価と出来高の関係性について解説しました。

株価と出来高は連動しやすい傾向にある一方で、出来高のみがひとり歩きすることがあります。

もし出来高がひとり歩きしていれば、株価の今後の動きを予測する手掛かりとなります。

しかし、あくまでも手掛かりであるため、出来高のみではなくその他のテクニカル指標や国債金利、経済ニュースなども合わせて検討するようにしましょう。

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