レポート

『振り返り』2022年1月の米国株式パフォーマンス

今回は、2022年1月の米国株式のパフォーマンスを見ていきます。

2021年は投資家にとって明るい年となりましたが、2022年早々は暗い展開となってしまいました。

記事投稿時にはすでに3月となっていますが、今後の投資材料として活用するために記録に残しておくことにしました。

話題となったニュース

1月に話題となったニュースとして、3つ取り上げていきます。

 

  • 米国株式の調整局面入り

  • 1月のFOMC会合結果

  • エネルギー株の続伸

 

それぞれ詳しく解説していきます。

米国株式は調整局面へ突入!

2020年~2021年にかけて米国株は上昇し続けてきました。2022年もそうなるだろうと個人投資家は思っていたことでしょう。

しかしながら、2022年1月に入ってから米国株式の代表指数であるS&P500、ダウ、ナスダック100はともに急落しました。また、米国株式にとって重要なファクターである米国債10年債利回りも1.5%から1.8%と急激に上昇してしまいました。

米国10年債利回りのチャートです。

米国10年債利回りのチャートです。

下落した理由は年内のテーパリング終了が本格的に意識され始めたことが原因です。また、2020年に世界を襲ったパンデミックもいよいよ落ち着きを見せ始めた反面、急激な好景気によるインフレが猛威をふるい始めたことがより年内利上げ(それも短期間による急速な利上げ)を意識させる原因となりました。

FOMCはサプライズなし?

次に、1月のFOMC会合の結果をまとめてみました。

FOMCでは年内の利上げ発表に加えて、ひょっとしたら0.25~0.5%の利上げが実施される可能性がありました。

特に、2日前くらいにFEDウォッチャーが「年7回0.25%刻みの利上げ観測」の記事を発表し、当初の予定であった年5回0.25%刻みの利上げより0.5%ペースが加速する可能性が浮上しました。

これを受けて、株式市場は大きく下落してしまい、実際の利上げはどうなるのか、FOMCに注目が集まりました。

ところが、実際にFOMC後のパウエル議長のスピーチでは、「年内利上げペースは3月から年5回、テーパリングは3月に終了」と当初の予定通りに落ち着きました。前日の株価急落を受けて、加速を取りやめたからだと思われます。これを受けて、一時的に株式市場は明るい展開を迎えました。

しかし、米国の消費者物価指数(インフレ指標)は5%台に上っているにもかかわらず、米国債券利回りはたったの1.8%未満になります。そのため、インフレ対策の観点からすればFRBが後手に回っていることは明白です。

また、3月に利上げが決まったも同然のため、安泰とは言い切れません。

エネルギー株はいぜん好調

年初来に株式市場全体が下落している中、エネルギー株はすこぶる好調な出だしとなっています。先ほど触れたようにインフレが本格化し、原油価格が高騰していることが主な要因です。

これまで過熱していたグロース株と比べて、アンダーパフォームし続けてきたエネルギー株でしたが、年初来からグロース株、指数と比べて大きくアウトパフォームする結果となっています。

実際、代表指数とエネルギー株ETFのパフォーマンスを比較すると、火を見るよりも明らかな結果となっています。

エネルギーETF・XLEと代表指数を比較したチャートです。

エネルギーETF・XLE(黄色)と代表指数を比較したチャートです。

米国株式市場のパフォーマンス

次に、1月の米国株式市場のパフォーマンスを見ていきましょう。

各セクターのパフォーマンスは、エネルギーセクターを中心にインフレに強いセクターが指数をアウトパフォームしましたが、その他のセクターは指数と同等、またはアンダーパフォームしています。

よって、セクター別は割愛し、代表指数の比較のみとさせていただきます。

S&P500のパフォーマンス

S&P500のチャートです。

S&P500のチャートです。

年初に4800台と快調であったS&P500ですが、年明けと同時に下落基調が続く展開となりました。1月25日、26日にFOMC会合が待ち構えている影響が大きかったようで、上値が重い展開となっていました。

24日には4200台まで下落し、年初来から10%以上の下落となりました。このまま下落が続けば、調整局面入りする展開となります。

しかしながら、いざFOMC明けのパウエル議長のスピーチで、1月開始の早期利上げが回避された結果、市場は好感による買いが入りました。

結果、月末の結果は、24日の底値4200台から5%上昇の4500台まで回復しました。しかし、年初来から見ればマイナス5%以上の結果となっています。

ダウのパフォーマンス

ダウ指数のチャートです。

ダウ指数のチャートです。

年初に36000台まであったダウは、年明けすぐに数日は好調な出だしとなり、37000を目指す勢いでした。

しかし、その勢いも長くは続かず、S&P500と同様に24日にかけて下落基調が続きました。

結果、24日に33000台の底値をつけ、年初来からマイナス5%のパフォーマンスとなりました。

一方、FOMCが終わった後は市場の好感買いにより、底値からプラス5%の35000台まで回復しました。しかし、年初来から見ればマイナス5%以上の結果となっています。

ナスダック100のパフォーマンス

ナスダック100指数のチャートです。

ナスダック100指数のチャートです。

年初来16500台のナスダック100はS&P500、ダウと比べて最もパフォーマンスが悪い指数となりました。利上げ観測に振り回された月であったため、ハイテク株が多いナスダックにとって地合いの悪い展開となったためです。

まず、年初からすぐに下落基調が続き、24日には13700台とマイナス16%以上の結果となっています。チャートを見てもS&P500、ダウと比べて大きな陰線が多いことが目立ちます。

一晩で1%以上の下落が度々起きているため、逆張り投資家たちの心を打ち砕いていったことでしょう。

24日の底値を出してからは15000台を目指して大きく上昇し、底値から8%以上の上場となりました。しかしながら、年初来で見るとマイナス8%以上と指数の中で最も悪い結果となりました。

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